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風棲む谷 佐竹昭広「酒呑童子異聞」より
ぬばたまの丹波や大きな童住む
枯草よ低き姫君ゐて熊野
山眠り眠れぬ鬼は星を浴ぶ
息吹初冬一番星は木が支ふ
捨て童子と真神(まがみ)眠りぬ星明り
白梅を後ろ明かりに鬼童丸
日の本の鬼の寂しき熟睡(うまい)かな
鬘(かづら)かざして
百年(ももとせ)を生きて翁の面はづす
えごの花常世の水も朽ちてをり
言の葉に来歴問ひぬ秋の岸
男ゐて眠れば聡き馬のごと
草色に灯る窓あり冬野ゆく
名乗りたる木地し師の裔や梅真白
父の目に合ひたし月光革命歌
もうひとつの椅子
この国の水の匂ひや冬三日月
猫の背の風花を摘む山の裾
冬天や横笛を手に祖母来たる
姿なきものらゆきかふ寒椿
約束の最後の橋の雪明り
木々の芽や星を射落とす遊びかな
水無月の底なる父の手を掴む 覚めきらぬ文月の夢の指である
夏霧のどこかで石を割ってをり
ひめしゃらや眠れるものを妻と言ふ
夏鴨やうすむらさきの母の声
吊るされし眠りの底や白芙蓉
僧若し秋の水より身を起こす
水時計水の彼方の秋の草
無帽にて父が降り立つ真葛原
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