金 子 兜 太
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2010/2 366号
木
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発行所
木の会
代表 森下草城子
愛知県北名古屋市高田寺1600-39(森下方)
電話0566-22-0073
編集責任者 大西健司 定価 300円
毎月発行
かかる世をB面として味噌醸す 中村ヨシオ
作者の家業は、たしか、創業二百年余の金
山字味噌の老舗。生き物のような醸造が、ど
のような情勢の世であろうと、代々守り継が
れてきた。その老舗の途上の姿勢を、現代感
覚で軽くかわして卓抜。「B面」に意表をつ
かれた
独りいることの静けさ大旦 岡田 弘子
いつもと変わりない筈なのに、「大旦」を
迎えて感受したのが、「独りいることの静け
さ」だという。独りのいのちの厳粛な宇宙感
覚が伝わってくる。時間の境目に、自身を客
観的に把握した、印象的な存在感だ。
湯豆腐の浮いて眺めるこの濁世 鈴木 誠
野次馬っぼく、わざわざ「浮いて眺める」
ところがおもしろい。真自な湯豆腐と濁世の
取り合わせも巧み。ぶつぶつと呟きか嘆きの
ような動きも見える。美しく措かれがちな豆
腐だが、諧謔味にあふれていて味わい深い。
浮寝鳥まざれていたい持ち時間 野崎 妙子
この「持ち時間」は、晩年を意識されたも
のなのであろう。日を浴びて水に浮いたまま
眠っている姿はとても気持ち良さそうだ。そ
こに「まざれていたい」に共感。でも浮寝鳥
には浮寝鳥の大変さがあるのかも。人間も最
後まで。
白菜を漬けて鏡のような夜 近藤 好子
まず二つか四つに割って水で洗うのだが、
寒くて冷たい。半日か一目干したものを漬け
てゆく。作業を終えた疲れに優る快感が「鏡
のような夜」に広がる。研ぎ澄まされた体感
である。白菜からは澄んだ水が惨みはじめて
いる。
わをんわをんと月押している除夜の鐘 間瀬奈津子
テレビで見ているだけでは、この「わを
んわをん」のオノマトぺは出てこないであ
ろう。「わをん」の「を」は実際に体で感じ
た「を」であり「月押している」である。身
体と心を貫く「除夜の鐘」 の実感が迫ってく
る。
(前田 典子)
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