金 子 兜 太

                                     
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 特別作品                TOP  BACK         

 海程「海隆賞・海程賞・新人賞」受賞者特別作品
 




  第33回海隆賞受賞 


 
サルルンカムイ 加川 憲一
  
丹頂鶴

 海鼠噛んで知らない神さま仏さま

 シクラメン術前術後星はない
              
 テポドンですプラスチックの海豹
(とっかり)です

 便器の水揺れヒロシマに広島忌

 手術室ではしゅうしゅう水の糜爛がある

 昆虫展感電しているヘラクレス

 博物館濡れているからバンザキ

 離岸流と一人の死者がいた晩夏

 紙をきれいにたたむ神官今朝の秋

 透明な傘咲き地球を削る雨



  第45回海程賞受賞

  
近 江    大西 健司

 最澄のお山檸檬の空である

 肉厚な手に檸檬ひとつがつつまれぬ

 栃の実の届かぬ高さ愛しかり

 虫食いの豆の葉比叡近くせる

 抽斗に栃の実最澄さんと呼ぶ

 横川中堂女一位の実を食べぬ

 一位の実少し苦いと滋賀の人

 釣舟草たしか近江のくすり売り

 笊に栃の実屋号蕗屋は子沢山

 比良山系男ひとりか葱提げて



  第45回海程賞受賞

  
質問って何だ   宮崎斗士

 蓑虫にも僕にもぴったりくる雨音

 鵙が鳴く笑顔に戻れない介護士

 原爆ドーム一は何乗しても一

 盲導犬の一生レモンひとつ置く

 無数のライト無数のカメラ蛇穴に

 秋葉原に僕の定位置冬の蜂

 職を探そう空缶ひとつずつ霜夜

 ポインセチア筒を抜けたら君がいた

 菜の花やまろやかまっすぐな朗読

 捺印はしっかり二秒ふきのとう



  第44回海程新人賞


   
終一灯      大野泰司

 一列にかまきり生まる指呼の問

 新馬鈴薯よ子は叱られる無精髭

 争いといたわりの間涅槃西風

 鳥帰り私は残る木の家に

 青田波言葉少なき父写す

 かなぶんの消す灯峡の終一灯

 美し美しと守宮の腹来るわが後生

 羽抜鶏現代より見し昭和かな

 青簾一語で足りる父の背

 胡瓜恋う家族はみんな不器用で



  第44回海程新人賞


  
鳥の歌        中村 晋

 一滴でフラスコは黄に初つばめ

 橋という磁場つばくらめつばくらめ

 椋鳥の巣作り入母屋に声きらきらす

 鳥帰る船はつくづく女性名詞

 鳥雲に文体がまだ乾かなくて

 卒業の日や図書室の窓に鳥

 初ひばり敬語こんがらがりやすくて

 沐浴のごと鳥に雨鳥の恋

 鵯に桜はお菓子食みこぼす

 クロ-パー雀も移動図書館に




 (作品の半分を掲載します。管理人endo)


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